Appreciate Happiness ブータン・ブログ

    ブータン政府で首相フェローとして働く日本人のブログ。Bhutan Blog by a Japanese working as Bhutan Prime Minister's Fellow.

    ブータンおすすめ本(2):本林靖久「ブータンと幸福論」高野秀行「未来国家ブータン」 Book recommendation for Japanese readers (2)

    (Sorry, this article is only in Japanese since I write about books on Bhutan written in Japanese.)
    (お知らせ1)日本ギャップイヤー推進機構協会(JGAP)にエッセイを寄稿しました。
    「ブータンで幸せの意味を考える1年~リスクは自分への投資」と題し、これまでのキャリアの転機について書いています。ご笑覧ください。
    http://japangap.jp/essay/2012/05/post-25.html

    (お知らせ2)先日東京でウゲン・ワンディ監督「学びへと続く道」のDVDをご購入頂いた皆さん、「字幕が読みにくい」と映画を観た家族から指摘を受けたので、監督と相談して後日修正版をお送りしたいと思います。メールでお名前とご住所をお送り頂ければ幸いです。僕のメールアドレスはtaktak525の後に@gmail.comです。

    今回はブータンオススメ本を2冊紹介したいと思います。

    1.本林靖久「ブータンと幸福論」
    雑誌月刊望星5月号「ブータンvsニッポン シアワセ対決!」(http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/contents/1205.html
    で僕は「ブータンという人柄」というエッセイを寄稿させて頂きましたが、そのブータン特集で巻頭記事を担当されていたのが本林靖久さんです。
    「『小さな幸福』と『大きな幸福』のあいだ」というタイトルの記事では、文化人類学者であり浄土真宗の僧侶でもある本林さんの目から見たブータンの姿が語られています。

    日本人の読者に反響が大きかったらしいのが、お墓を建てないというブータン人の死生観。
    火葬の後、遺灰や骨のほとんどは川に流します。輪廻転生の中で死後四十九日で来世に生まれ変わると信じられているので、墓を建てて供養し続ける必要がないのです。

    肉親が亡くなるのは悲しいことですが、四十九日で次の生命に生まれ変わると信じれば、残された家族も悲しみを引きずらずにすむ気がします。
    先日、日本人の友人の肉親が亡くなってしまったのでこの話をしたところ、「気持ちが少し軽くなった」と言ってくれました。

    ちょうどこの望星が日本で発売されたときに、ブータンでバッタリ本林さんにお会いしました。首都ティンプーですら非常に小さい町なので、ブータンではこういう偶然がしょっちゅうあるんです。
    雑誌を通じてお互い名前を聞いていたので、思いがけない出会いに感激しました。
    僕は地元が大阪で、本林さんも大阪大学で非常勤講師を務めていらっしゃるので、「大阪でブータン関連のイベントができるといいね」と話が盛り上がりました。


    本林さんが以前出版された本が、「ブータンと幸福論」。
    僕自身はまだ拝読できていませんが、宗教の観点から、ブータン人の幸福感の背景が描かれているようです。


    本林さんのブータン観を知るにはこの記事もオススメです:
    http://www.nttcom.co.jp/comzine/no104/wise/index.html

    その本林さんが、明日5月13日日曜日のテレビでブータンの宗教観を日本仏教との関わりも含めてお話するそうなので、是非ご覧ください。


    番組内容:「ブータンの人々が幸福を感じているのは真剣に死と向き合っているから」と宗教人類学者で僧侶の本林靖久さんはいう。ブータンを見つめ続けて見えてきたものとは何か?

    [ 番 組 名 ]   こころの時代 ~宗教・人生~ 「幸せの形と向き合う」
    [チャンネル]   NHK Eテレ/Eテレ3
    [ 放送日時 ]  2012年5月13日(日)午前5:00~午前6:00(60分)
    [ 番組詳細 ]  http://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20120513-31-16733



    2.高野秀行「未来国家ブータン」
    最近はブータン本ブームですが、この本は特に面白い!!
    普段忙しくてなかなか本を読めないのですが、この本は寝る間も惜しんで一気に読んでしまいました。
    筆者高野さんのブータン訪問の目的は、何と「雪男を探すこと」。
    最近まで電気も通らない僻地が多かったブータンは土着信仰も盛んで、不思議なことも起こります。雪男を見たことがある人々がいても違和感がないのがブータンです。

    事前にゾンカ語を勉強して来られただけあって、ブータン人と深い交流をする様子が面白く、住んでいる僕でも知らないブータンの事柄がいくつも登場します。

    エピソードがいちいち面白いのですが、少し紹介すると、
    ・世間の狭さを利用するブータン人
    ブータンは本当に世間が狭いので、みんな知り合いという感じで、首都ティンプーを歩くと必ず知り合いに出くわします。
    高野さんが旅の相棒ツェンチョ君と買い物に行った際のエピソード:


    ツェンチョ君は店の人(両替商)に「やあ」と親しげに挨拶し、実際よりやや良いレートで換えてもらった。
    「ツェンチョ君は顔が広いから助かるね」と私が言うと、ツェンチョ君はくすっと笑った。「ほんとは僕はあの店の人、知らないんです」
    「え?」
    「ブータンは顔見知りが多いでしょ?でも顔や名前をいちいち覚えていないことが多い。だから僕はときどき知り合いのふりをするんです。すると、相手は『誰だか思い出せないけど、知り合いだろう』って思って、まけてくれるんです。」


    世間の狭さを逆手に利用するしたたかさが面白い(笑)。

    ・イクラを食べたがらないブータン人


    ブータン人の友人が日本に来たとき、妻は一緒に寿司屋に言った。彼は「うまい、うまい」と言って寿司をぱくぱく食っていたが、数の子やイクラといった魚卵と白魚だけは「食べられない」と顔をしかめたという。
    ブータン人にとって、大きくても小さくても命は命。だからマグロやタイといった大型の魚を何人かで分けると罪悪感が減るが、一人で何十もの卵や小魚を食うというのは大量虐殺みたいな気分になるらしい。
    さらに、これまた妻の話だが、ブータンの人達に「どの肉が好き?」と質問したところ、「牛肉」という答えが圧倒的だったという。理由は「大きいから」。妻は味の好みを訊いていたつもりが殺生の話にすりかわっていたのだ。


    この話をブータン人の同僚にしたところ、「牛も鶏も結局は殺してるんだから同じだ」という意見もありました。
    ただ、それぞれの動物が雑食か草食かは大事だそうです。草食の牛なら生き物を食べないのでOKだが、例えば魚は色んな生き物(プランクトンとか??)を食べるのでそれを食べるのは罪悪感が高まるのだとか?
    ブータン人によっても言うことは変わります。適当なところもブータン人らしさです。

    高野さんは、ブロクパという遊牧民が住むメラ・サクテンも訪れます。
    メラ・サクテンは、僕がブータンに来て1週間しか経たないときに出張で訪問した思い出深い場所。1日10時間近く歩かないと辿り着けない秘境です。
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    一度訪れた場所なので、そこの文化や人々の様子を興味津々で読み進めました。
    メラ・サクテンで高野さんを世話したレキくんは僕らを去年世話してくれた若者と同一人物な気がします。
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    (記憶が正しければ、左から2番目がレキくん。父親が祈禱師とは知らなかった)

    メラ・サクテンのブログ記事はこちら:
    メラへのトレッキングhttp://thanks2happiness.blog.fc2.com/blog-entry-10.html
    メラからサクテン、そしてゴールへhttp://thanks2happiness.blog.fc2.com/blog-entry-11.html

    当時は高山病が心配でお酒飲まなかったのですが、本来は地元の女性が訪問客に浴びるようにアラ(地酒)を飲ませるのがメラ・サクテン流の歓迎。
    高野さんのように飲みまくれば、僕のメラ・サクテン体験も全く違ったものになったでしょうね。

    ブータンの魅力ってつまるところは「人」だと思うので、ブータン人の生き方や考え方が伝わるこの本は貴重。
    笑いが随所に散りばめられつつ、ブータンが「世界でいちばん幸せな国」である真の理由も示唆深く考察されていて、オススメの1冊です。


    ブータンおすすめ本として以前紹介した「国をつくるという仕事」の著者、西水美恵子さんの新著「あなたの中のリーダーへ」が5月8日に発売になりました。
    先日一時帰国した際に先行販売で入手したので、読むのが楽しみです。


    「あなたの中のリーダーへ」Facebook公式ページはこちら。西水さんが、皆さんの感想を是非Facebookに書き込んでほしいと仰っていました。
    https://www.facebook.com/nishimizu

    先日、世界銀行東京事務所での講演「ブータンの貧困と金融問題」に来て下さった方、Ustreamでご覧頂いた方有難うございました。
    ちょっと早口だったみたいですみません。内容を欲張って詰め込みすぎたかもしれません。
    Ustreamで録画を見れますが、マイクの音が割れているので聴きづらいです。すみません。。。
    http://www.ustream.tv/channel/pic-coffee-hour

    Facebook「ブータン首相フェロー日記」はブログより頻繁に更新しているので、是非フォローして下さい。
    https://www.facebook.com/taktaktictac
    ツイッターでもブータンのことを呟いています。
    https://twitter.com/#!/taktaktictac
    2012/05/12(土) 12:34:30 ブータンオススメ本・映画 Trackback::0 Comment::2

    ブータンの高級リゾート アマンコラ Amankora: Bhutan's luxury resort

    (English updated)
    ブログの更新が少し久しぶりになりました。最近、本業以外にもメディアの取材や日本からの訪問者の対応などが続き忙しかったので。
    今は友人の結婚式の出席のために8か月ぶりに日本に帰っています。ブータンから東京に来ると、人の多さに圧倒されますね。
    日本では寿司と刺身をここぞとばかりに堪能してます。内陸国のブータンでは生魚が全く手に入らないので。ブータンは住み心地のいい国ですが、日本人としては魚だけは恋しくなります。
    When I wrote this blog, I was in Japan to attend my friend's wedding. Coming from Bhutan, I feel there are too many people in Tokyo. I was overwhelmed!
    In Japan, I enjoyed Sushi and Sashimi. Raw fish is not available in Bhutan at all. Although I feel very comfortable living in Bhutan, I cannot stop missing raw fish as a Japanese...

    さて、今回は観光に関連した、高級リゾートの紹介。
    ブータンへの観光を検討したことのある方は、公定料金の存在をご存知かと思います。
    観光のピークシーズンである3月〜5月と9月〜11月は一日一人250ドル、それ以外のオフシーズン(1月〜2月、6月〜8月、12月)は200ドルの公定料金が定められています。
    (グループの人数によっても料金は変わってくるので、詳しくは政府観光局のページをご参照くださいhttp://www.travel-to-bhutan.jp/archives/576)
    This time I'd like to introduce Amankora, a luxury resort in Bhutan.
    By the way, if you once considered a visit to Bhutan, you may be aware of the tourism fee.
    Every visitor needs to pay USD250 per day during peak season (March-May, September-November). It's reduced to USD200 during off-season.

    公定料金はよくビザ代金と誤解されることがあるのですが、250ドル(もしくは200ドル)の中にはホテル代、食事、国内交通、ガイド代などが全て含まれています。なので、ブータン人に言わせると「ヨーロッパを旅行しても、ガイドまでつけたら同じくらいかかるんじゃない?」と言う声も。
    政府が公定料金を設定している背景には、「High Value(高付加価値)、Low Volume/Low Impact(人数を絞り、環境などへの負荷が少ない)」を目指す観光政策があります。
    バックパッカーなどが大量に押し寄せて、環境が破壊されたり、悪い文化が持ち込まれたりすることを防ごうとしているのです。
    公定料金の設定にも関わらず、ブータンへの観光客は毎年順調な伸びを示しています。去年の国王来日以来、日本からの観光客も大幅に伸びています。
    公定料金のうち65ドルは政府の歳入となり、GNH政策にとって貴重な財源となっています。
    The tourism fee covers expenses for accommodation, food, transportation, and guide. The reason behind the high tariff is Bhutan's "High Value, Low Volume/Low Impact" policy in tourism.
    Bhutan doesn't want too many backpackers to destroy environment and traditional culture.
    The number of tourists is increasing steadily despite the high tariff. USD65 out of $250 become government revenues.

    さて、ブータンのほとんどのホテルには公定料金内で泊まれるのですが、それ以上に贅沢をしたい方向けの高級リゾートも存在しています。
    その代表格が、アマンリゾーツ(http://www.amanresorts.com/home.aspx?LangType=1041)が経営する「アマンコラ」です。
    If you wish to pay more and enjoy luxurious stay, you can consider staying at Aman Resorts.

    アマンコラはブータン5か所にホテルを構えています。パロ、ティンプー、プナカ、ポプジカ、ブムタンです。僕の月給(2万円)ではなかなか泊まれませんが、お茶だけは5か所全てのアマンコラで体験させて頂きました(笑)。
    Amankora has 5 locations in Bhutan: Paro, Thimphu, Punakha, Phobjikha, and Bumthang. I visited every one of them just to have a coffee lol.

    こちらはパロで宿泊客が泊まるヴィラ。ブータンの伝統様式を基調にした建築です。
    This is villa you would stay at Paro. Aman uses Bhutanese traditional architecture.
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    パロのラウンジからは、天気がいいと美しいジョモラリ(7314m)の頂が見えるそう。
    You can see beautiful Himalaya mountains such as Jomolhari from Paro lounge when the weather is clear.
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    パロのレストラン。Restaurant in Amankora Paro.
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    町中ではなく、ブータンの大自然の中にあるのがアマンコラの特徴。
    プナカでは、橋を渡って、バギーで田園風景を進んだところにホテルが存在しています。
    Aman hotels locate in the middle of nature.
    In Punakha, you take a buggy to go through paddy field to reach the hotel.
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    プナカでは昔ながらの民家を改築した建物を使い、日本人に人気が高いそうです。
    Traditional houses are renovated in Punakha.
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    こちらはティンプーのアマンのラウンジから見える風景。
    This is scenery you can enjoy from Thimphu lounge.
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    ティンプーの図書室。
    Library in Thimphu Aman.
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    ティンプーでは、日によってリンポチェ(代々生まれ変わる高僧)の仏教についての講話が聞けるときもあります。
    Sometimes you can listen to a talk by renowned Rinpoche (high priest by reincarnation) if you stay in Thimphu.
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    こちらはティンプーのレストラン。
    Restaurant in Thimphu.
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    両親が来たときに親の奢りでアマンで食事をさせて頂きました。
    西洋料理とアジア料理の中から選べるスタイル。
    When my parents visited me, they treated me dinner at Aman.
    You can choose from Western and Asian courses.
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    ホタテのグリルとリゾット。
    Grilled scallop and risotto.
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    ソフトシェルクラブ。最初にも書きましたが、ブータンではシーフードがなかなかないので嬉しい。
    Fried soft shell crab.
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    イタリアのハム、サラミ。
    Italian chorizo.
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    ピザも美味しかった~。
    Pizza was also tasty!
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    モデルルームも見学。
    木の温かみを基調にした、とても落ち着くお部屋です。
    This is the model room. Comfortable stay is ensured by wood-style warm interior.
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    お風呂もおしゃれ。
    Bath is cool, too.
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    スタッフのユニホームのゴとキラが可愛い。
    Staff uniform in Gho and Kira are cute.
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    アマンに限りませんが、ブータン人はみんな愛想がいいです。
    友人の結婚式の余興のためのビデオ撮影という、至って個人的なお願いにも快く応じてくれました。
    Very friendly staff.
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    アマンコラには、日本人のスタッフもいらっしゃいます。写真右の窪田さんが日本語で対応して下さるので、日本人のお客さんも安心。
    There is a Japanese staff, too. Her name is Ms.Kubota.
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    アマンコラの特徴には、一流の設備やブータン伝統を基調にした建築様式などが挙げられますが、一番はおもてなしの行き届いたサービスだと思います。その分、正直お値段は張ります。全部アマン泊というのは難しくても、1泊や数泊だけ体験してみるのはいいかもしれません。僕みたいにまずはお茶だけ体験して、部屋を見せてもらって考えるのもありだと思います!
    3食つきのお値段など詳細はアマンコラのホームページ(英語)で:
    The best feature of Aman resorts is the extensive hospitality and services. The rates are actually very high. But you may wanna consider staying for at least a night if not the whole nights of your stay.
    Check the rates etc at Aman's website:
    http://www.amanresorts.com/amankora/home.aspx

    もちろん、ブータンの昔ながらの生活を体験したいという方には、以前書いた民家泊もお勧めです。
    If you want to experience traditional style of Bhutanese family life, I would recommend farm stay as I wrote before:
    http://thanks2happiness.blog.fc2.com/blog-entry-19.html

    さて、最初にも書きましたが、5月7日(月)に行う講演がUstreamで生中継されることになりましたので、ご興味のある方はご覧頂ければ幸いです。
    以下詳細:


    ■ ブータン・国民総幸福(GNH)の今 ~ブータンの貧困と金融問題~
    日本ブータン友好協会、世界銀行情報センター(PIC東京)共催シリーズ 第2回

    日時:  2012年5月7日(月) 午後6時30分から午後8時まで
    場所:  世界銀行情報センター(PIC東京) http://bit.ly/e348Ev02
    内容:  ブータンは急速に近代化・都市化が進み、近年新たな形の
    地域格差や貧困問題が顕在化しています。金融や
    マイクロファイナンスが国民総幸福に果たし得る役割とはなにか、
    2代目ブータン首相フェローが講演します。(申込は既に締め切られています)
    詳細: http://bit.ly/HEjftl
    生中継のリンク:http://www.ustream.tv/channel/pic-coffee-hour



    今回の一時帰国では、以前紹介したウゲン・ワンディ映画監督のドキュメンタリー映画「思いを運ぶ手紙」と「学びへと続く道」(ともに日本語字幕つき)のDVDも持ってきているので、ブータンの大自然の中で素朴に暮らす人々を収めた映像に興味のある方は、会場で講演後に個人的にお声がけ頂ければ幸いです。大家さんでもあるウゲンさんから預かったDVDは各2500円です。
    映画の詳細は:
    http://thanks2happiness.blog.fc2.com/blog-entry-37.html
    (追記)先日東京で「学びへと続く道」のDVDをご購入頂いた皆さん、「字幕が読みにくい」とのご意見を頂いたので、後日修正版をお送りしたいと思いますので、メールでお名前とご住所をお送り頂ければ幸いです。僕のメールアドレスはtaktak525の後に@gmail.comです。

    また、僕が働いている中央銀行が去年国王のご成婚の際に発行した記念紙幣も少し持ってきたので、ご興味のある方は当日お声掛け下さい。1部1000円です(写真上が記念紙幣)。
    この紙幣、まだ在庫がだいぶあるそうで、中央銀行から日本で販売してくれる代理店を探すように言われているのですが、興味のある方はいらっしゃるでしょうか。。。
    売り上げは国王のオフィスで、貧しい人たちのためのプロジェクトに用いられるそうです。
    Note-Coin_Royalwedding.gif

    話は変わりますが、ブータン関連本として以前紹介した「国をつくるという仕事」の著者、西水美恵子さんの新著「あなたの中のリーダーへ」が5月8日に発売になります。
    「国をつくるという仕事」は僕がブータンで働こうと決心した大きなきっかけを与えてくれた本です。ブログで紹介したことで西水さんご本人からご連絡を頂き、愛のあるアドバイスを時折頂く幸運に預かっています。
    新著「あなたの中のリーダーへ」でもブータン国王のリーダーシップに関する記述があるようなので、楽しみにしています。


    Faceboook公式ページはこちら。読んだらブログでも感想を書きたいと思っています。
    https://www.facebook.com/nishimizu

    お知らせが多くて恐縮ですが最後に、関西ローカル番組「ちちんぷいぷい」の特番「池上彰さんに聞く世界のハテナ4(仮)」5月10日(木) 19:00-20:54(大阪毎日放送MBS)で、ブータンで僕がインドルピー問題について話したインタビューが流れるかもしれないそうなので、関西の方はチェックして頂けると光栄です。

    いつものようにご感想等はお気軽にFacebookでお寄せ下さい。
    https://www.facebook.com/taktaktictac 2012/05/03(木) 20:52:24 ブータン観光・お祭り Bhutan sightseeing & festivals Trackback::2 Comment::3

    ブータンのインドルピー問題 Bhutan's Indian Rupee Issue

    (お知らせ)大阪毎日放送MBS14:55-17:45「ちちんぷいぷい」で今日(4月27日金曜日)、僕のインタビューが放映されるそうです。ブータンで起こっているインドルピー問題について語ったもの。関西方面の方は是非見て下さいね。
    インタビューは今度5月10日(木)19:00~21:00に池上彰さんが登場するちちんぷいぷいの特番でも流れるかも、とのことです。
    http://www.mbs.jp/puipui/


    日本ではもっぱら「幸せの国」として桃源郷のように報道されるブータン。もちろんそう言った美しい面もありますが、他の国と同様、当然問題も抱えています。
    現在ブータンが直面しているのが、インドルピー問題。規模の小さいブータン経済を大きく揺るがす事態になっています。
    In Japan, Bhutan is always introduced as "the happiest country" like Shangri La. Of course Bhutan is beautiful and people are sweet as it's introduced, but Bhutan also has its own issues like other countries.
    Now the biggest issue Bhutan's economy is facing is the Rupee crunch.

    できる限りシンプルに説明できればと思いますが、これは、ブータンの国全体としてインドルピーの準備高が枯渇してしまった問題です。
    ブータンはその貿易のほとんどを陸続きのインドに依存しています。輸入の75%はインドからです。
    ブータンの通貨であるニュルタムも、インドとの貿易に関わる支払いをスムーズにするために1対1でペッグ(固定)されています。
    To simply explain it, Indian Rupee reserves in Bhutan ran out because Bhutan imported more than it exported to India. 75% of Bhutan's import is from India.
    Bhutanese Currency (Ngultrum) is pegged at the same value with Indian Currency to smooth transactions related to trade.

    近年のブータンは、急速に消費が拡大。インフラ整備や水力発電所の建設に関連した政府支出もここ数年で一気に拡大しました。
    その一方、ブータンの生産部門や輸出部門の成長のペースはゆるやか。消費の拡大を支えるためには物資を輸入するしかなく、特にインドに対する貿易赤字が拡大。輸入の支払いをインドルピーで続けた結果、外貨準備としてのインドルピーが枯渇してしまったのです。
    In recent years, consumption in Bhutan grew rapidly. Government spending also increased for Infrastructure development, hydropower plant construction, etc.
    On the other hand, the growth pace of domestic production and export sector has not been as rapid as that of consumption and export. As a result, trade deficit increased against India and the Indian Rupee to pay for the import ran out.

    簡単にまとめると以下のスライドのようになります。
    ブータンのルピー問題 高橋孝郎
    The above slide in Japanese summarized the cause:
    Consumption > Production
    Import from India > Export to India
    Demand for Indian Rupee > Supply (Earnings) of Indian Rupee

    僕が首相フェローとして働いている中央銀行RMAでは、3月8日に声明を発表して、市中銀行からのインドルピーの引き出しに制限をかけました。
    これは輸入業者が物資をインドから仕入れる際に、これまでのようにインドルピーを自由に支払えないことに繋がります。
    いきなりの措置に市場は混乱し、銀行には人々が殺到しました。
    RMA (Royal Monetary Authority of Bhutan, the Central Bank), issued circulation on March 8 to restrict withdrawal of Indian Rupees from commercial banks.
    It led to limitation of payments to import.
    Sudden restriction caused people rushing to banks to withdraw Rupees.

    この措置が起こるまでインドとの国境沿いの町では、ブータン側もインド側もそれぞれインドルピー、ブータンニュルタムのどちらでも等価で支払いができました。
    しかしインドルピーが枯渇していることを知ったインド側の商人は、ブータンニュルタムで支払う場合には10%以上のプレミアムを要求。
    それでなくても全体として輸入に制限がかかっているので、ブータンでは10%~20%のインフレが始まっています。
    Before, in the border town with India, payment was possible both in Bhutanese Currency and Indian Currency with the same value.
    Now, if you pay in Bhutanese Currency, Indian merchants seem to be asking premium more than 10%.
    10-20% inflation is happening in Bhutan because import goods are getting more scarce.

    一体どれくらい消費が拡大したのかを示唆する興味深いデータが、下のローン貸出の過去4年間の数字です。
    上から、1.住宅&建設ローン、2.消費者ローン、3.自動車ローンですが、年率の成長率が異常に高いことが分かります。
    経済成長のために金融は必要ですが、このペースはバブル的だったと言わざるをえません。
    例えば自動車は現在ブータンに約6万3千台ありますが、去年の一年だけで8000台が新たに輸入されたとのこと。人口70万人の途上国でこの増加台数は驚きです。何せ月給が一般の公務員で2,3万円なのですから。
    The below chart shows how consumption grew rapidly.
    The data is the growth of loans given for construction&housing, personal, and cars. You can see that growth rate in each year has been much higher than GDP growth rate (around 10%).
    Finance is needed for economic growth, but I would say the pace was not sustainable.
    Supporting slides for Rupee issue article for blog

    政府は生活必需品以外の贅沢品(車など)の輸入制限や税金の引き上げを発表しました。
    しかしこの問題を解決するには、国内生産と輸出を振興する抜本的な経済改革が必要です。それは一朝一夕には叶いません。
    The government announced restriction of import of non-essential items such as cars and potential tax increase on luxury items.
    To solve this Rupee issue, fundamental adjustment of economy is needed. It takes time to increase domestic production and export.

    首相は今週木曜日にテレビで国民向けに演説し、ブータン人がその消費行動を改める必要があることを訴えました。
    また、農業部門を振興することで、農薬を使ったインド製の安い野菜を輸入するのではなく、有機野菜であるブータンの作物の自給率を上げる重要性を強調しました。
    The Honorable Prime Minister of Bhutan held "Address To The Nation" this Thursday to implore the Bhutanese public to prepare changing their economic habits and consumption patterns to achieve economic self-reliance.
    The prime minister said the government would give extra emphasis on agriculture. “We’ll curtail vegetable exports outside the country starting May this year, and concentrate on meeting our requirements from home,” he said. “The kind of vegetables we import from outside have a high chemical content, which is not really good for health.”
    http://www.kuenselonline.com/2011/?p=29927

    この問題に関して、バブルの痛みを経験した日本人としてブータンの全国紙クエンセル新聞に投稿した意見が昨日の土曜日版とオンラインで掲載されたので転載します。
    英語ですが、希望があれば後日日本語訳するかもしれません。
    I sent my opinion on this issue to Kuensel, the biggest newspaper in Bhutan.
    Saturday issue of Kuensel put my article. Let me put it here:
    http://www.kuenselonline.com/2011/?p=29943
    P1110225 small



    How a Japanese sees the Rupee issue

    I am a Japanese working for the government of Bhutan as a consultant. I would like to write my observation on the Rupee crunch as an individual foreigner living in Bhutan.


    You may know that Japan experienced a bubble economy in late 80s. Real estate price was skyrocketing and banks were giving loans recklessly believing that the collateral values would never fall. The bubble burst in early 90s and the central bank and commercial banks mishandled the huge amount of non-performing loans, which led to 20-year long stagnation of Japan’s economy. Seeing the rapid construction boom in Bhutan, I was afraid if this was a sign of a bubble economy. Loans for construction & housing, personal, and transport (cars) grew 35%, 58%, and 48% respectively within just a year of 2011. This pace was not sustainable and now the economy faces a consequence as a Rupee shortage.

    Some say that the rupee crisis could be solved by selling convertible currency reserve, but the situation is not as simple as that. First, constitution says that the reserve needs to be maintained at a level of 12-month import. Second, the reserve is built through aid, grants and tourism income. Selling such reserve has to be done very carefully. The rupee crisis happened because Bhutan consumed much more than it produced and therefore imported much more than it exported especially with India. Fundamental adjustment is required for the economy.

    Although there is a pain with the current crisis, it is a good opportunity to restructure the economy. RMA, which became a fully-autonomous Central Bank just in 2010, is learning from this experience how to be a more effective institution to monitor and manage monetary policy. Financial institutions are learning how to better control foreign exchange and ALM (Asset and Liability Management). The financial system in Bhutan should take the current situation as an opportunity to quickly upgrade its operation.

    Not only the financial sector but also private sector and citizens can take it as an opportunity to change. Private sector in collaboration with the government needs to accelerate investment in domestic production and export. Bhutan cannot afford import-led growth as it has been. Burden from a potential tax increase may be necessary to be shared by stakeholders in order to incentivize required change in the economy.

    People need to prioritize their consumption items. Is purchasing a car really necessary now? Is purchasing a brand bag necessary? In Japan, my family raised me by saying “Don’t spend on unnecessary things. Save money and resources carefully since they are limited.” In Bhutan, water, food, electricity, forest, and any other resources are limited and needed to be used carefully so as the Indian Rupees. Japanese people have an image of Bhutan as a Buddhism country that its people know how to control their desires and how to live a simple and frugal life happily. Development is necessary, but the pace needs to be manageable and sustainable for Bhutan to balance various aspects of GNH.

    One concern I have is the potential impact on poor people. Richer people may have resistance to go through this crisis, but the poor people may be hit significantly by inflation. The government, financial sector, and all of us need to collaborate and handle the Rupee issue very carefully to avoid negative impact on the most vulnerable people. To that end, I believe that Financial Literacy Program and Financial Inclusion Policy I’m supporting are important to raise people’s understanding on financial matters and increase domestic production particularly in rural areas.


    この問題をどう切り抜けるかが、未来のGNHを大きく左右する可能性があると思います。
    この痛みを薬にして、GNHを維持できるペースで経済を成長させる術をブータン人が見つけることを祈っています。
    I personally feel that how to handle this issue would influence GNH's future significantly.
    I hope Bhutan will find the right pace of economic development to maintain its GNH.

    来月日本に一時帰国するのに合わせて、このルピー問題や、仕事で取り組んでいる貧困問題などについて東京で講演をさせて頂くことになりました。
    I will have a talk on the rupee issue and my work in Financial Inclusion when I visit Tokyo in Japan in May.



    ■ ブータン・国民総幸福(GNH)の今 ~ブータンの貧困と金融問題~
    日本ブータン友好協会、世界銀行情報センター(PIC東京)共催シリーズ 第2回

    日時:  2012年5月7日(月) 午後6時30分から午後8時まで
    場所:  世界銀行情報センター(PIC東京) http://bit.ly/e348Ev02
    内容:  ブータンは急速に近代化・都市化が進み、近年新たな形の
    地域格差や貧困問題が顕在化しています。金融や
    マイクロファイナンスが国民総幸福に果たし得る役割とはなにか、
    2代目ブータン首相フェローが講演します。
    詳細、参加お申し込み: http://bit.ly/HEjftl
    (追記)追加募集の席も埋まってしまい、申込は締め切られたようです。
    今回は一時帰国が短いので講演はこれだけですが、8月に帰国する際には東京や地元の大阪などでブータンに関する講演やイベントをできればと思っています。



    I also wrote an essay about Bhutan's life and GNH in one of Japanese magazines.
    また、エッセイを寄稿した雑誌「月刊望星(ぼうせい)」5月号「ブータンvsニッポン シアワセ対決」が4月14日に発売になりました。
    「ブータンという人柄」というタイトルで、ブータンに暮らす中で感じたGNH(国民総幸福)の本質について、エピソードを散りばめて書かせて頂きました。
    http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/contents/1205.html

    前回も書きましたが、発行部数はあまり多くない雑誌なので、「お近くの書店さんにご注文いただく(送料無料)のが一番確実な入手方法ではあるのですが、紀伊國屋書店さんだと、どこの店舗でもほぼお買い求めいただけるようです。またジュンク堂さんにも、大体置いていただいています。」とのことです。
    アマゾンでも販売されています。


    望星のエッセイの感想やインドルピー問題に関するご質問等はお気軽にこちらのブログもしくはFacebookでお寄せ下さい。
    https://www.facebook.com/taktaktictac 2012/04/15(日) 16:22:27 首相フェローの仕事 (PM's Fellow) Trackback::0 Comment::0
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